(公社)国際経済労働研究所 会長 板東 慧
2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始した。ウクライナ各地の軍事施設が空爆で破壊され、首都キエフの空港を巡ってロシア軍とウクライナ軍の戦闘が始まった。冷戦後の国際秩序を力で変更しようとするロシア軍の失地回復の野望とそれを抑制するものだが、G7の首脳がオンラインで協議し、「可能な限り、最も強い言葉で非難する」と共同で声明を出した。
ロシア通信によると、ロシア国防省は24日、ウクライナへの空爆で軍事インフラ施設74カ所を破壊したが、これには空軍の飛行場11カ所、司令部3カ所、海軍基地の他、地対空ミサイルシステムなどが含まれるという。ウクライナ軍によると、ロシア軍から巡航ミサイルなど30発以上で軍や民間施設が空爆されたという。インタファクス通信によると、ロシア軍はウクライナの防空網を制圧し、タス通信は黒海に面する南部オデッサや南東部マリウポリにロシア軍が上陸したと伝えている。その他、ウクライナ各地でロシア軍の攻撃に伴う、ウクライナとロシア軍の戦闘が続いている模様である。
このようなロシアの攻撃に対して、EUはロシアに制裁を加えるとして、「ロシアがEUにもつ資産凍結やEUの重要技術へのアクセス不能の措置」や「EUの金融市場への参加阻止」などで対抗しようとしている。
長らく平穏であった欧州に戦火が飛び交った。明らかに本格的な欧州全体を巻き込む戦闘の可能性であり、欧州大戦の可能性さえ恐れられる。しかも、その要因がロシアによる「旧領土回復」を武力でめざそうとする野望で、「時代逆行」も甚だしいが、今後の成り行きが注目される。
2022.3