研究所内では調査研究とともに、IT担当としてPCの手配や設定・ヘルプデスクからサーバの管理まで多種多様に取り組んできている。しかしここ数年でITを取り巻く環境は大きな一つの転換期を迎えたかのように大きく変化した。
一つはテレワークなどの働き方だ。テレワークの有効性は以前から考慮していたもののこれまでは導入に踏み切れてはいなかった。しかし2020年の新型コロナ感染症による最初の緊急事態宣言では、濃厚接触を避けることが求められ、人との接触を 7割低減することを目標に制限され、エッセンシャルワーカーを除き、休業・テレワーク・在宅ワークへの移行を強く求められた。それから早3年、様々なイベントや活動への制限も解除されたものの、テレワークについても定着し、コロナ禍前に完全に戻るわけではない。このような環境の中で研究所の活動を行いやすいIT環境は以前と考えると大きく変化している。オフィスへの出勤を前提とした環境はテレワークにおける最適とは程遠く、WEB会議を実施するにはそれぞれある程度隔離された空間が必要になる。このような働き方の変化は今後も続いていくであろう。
もう一つはAI技術である。知的活動の象徴であった絵・文章・音楽などの分野で生成系AIにより、既存のデータベースより新しく様々なコンテンツを生成可能となった。生成系AIはこれまでは研究の対象として主に専門家が触れてきたものであったが、この3年で急速に進化し、一般的に利用可能なサービスとしても提供されるようになっている。このようなサービスは単なる興味関心だけでなく働く上でも、無視することはできない状態となっている。
このような大きな変化に抵抗するのではなく、変化への対応こそが人間が繁栄してきた証だと考え、新たな技術や手法を上手く取り込み、働くとは何かを考慮しつつ変化を楽しんでいきたい。
IT担当研究員 松 秀樹 |