中学生の頃の話。クラスメイトが書いた互いの印象を使って、どの子かをあてるゲームで、「女の子らしい子」というヒントに自分の名前が挙がってびっくり、それが正解でさらに驚愕した。
調査をすると、思った通り!という場合もあれば、思っていたのと違う!ということもある。特に組合役員の方々は普段、問題点ばかりを聞いている場合もあるようで、きっとみんなネガティヴなはずだと思って調査したのに、そうでもなかったということがある。なんとなく拍子抜け、せっかく調査したのにという向きもあるが、それこそ調査の醍醐味だ。もしかしたら、声の大きい人の意見ばかりで組合役員の現状認識ができてしまっていたのかもしれない。ギャップの中には気づかなかった現実が隠れている。自分と周囲の認識のギャップ、調査結果と普段の印象のギャップ、会社の調査と組合の調査のギャップ、組織内と外部からの認識のギャップなどなど。
この秋、学会で勤続意志の変化について発表させてもらった。離職に悩む声は聞くものの、弊所の第30回共同調査の結果をみると、勤続意志自体はリーマンショック直後、最高潮に達した時期からは低下したが、バブル崩壊後などと比べて低くはない。実際、新卒が3年以内に離職する比率ももう20年以上横ばいだ。非常勤講師として教えている学部学生が学会体験で発表を見にきてくれ、「みんなもっと転職するようになってるのかと思ってた!」と感想をくれた。
勤続や離職への学生の認識と、実態には少なからずギャップがあるようだ。正社員転職エージェントのCM放送回数は2021年から急速に増え、2022年は5万回を超えている(CM総合研究所,2023年10月23日)。話を聞きに来てくれた学生たちはまだ2回生。彼らが就職する頃、新卒3年目を迎える頃には、どうなっているだろうか。ギャップの影で、現実が変わり始めているのかもしれない。現実を変えようと誰かが暗躍している!なんていう妄想も…。興味は尽きない。
研究員 向井 有理子 |