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所員コラム 雪国 (坪井 翔)

長い繁忙を抜けると雪国だった。


私は主に働きがいについての分析を担当する研究員として国際経済労働研究所に勤務しているが、ここ数年で組合員の働き方は大きく変化した。最も目立った変化としては、コロナ禍をきっかけとしたリモートワークの急速な浸透があげられるだろう。2024年現在ではWithコロナのフェイズに移行し、今後はオフィス勤務に回帰していく組織と、テレワークを積極的に活用していく組織に二極化していくと予想している。どちらの働き方にも一長一短あり、これらの働き方が組合員の働きがいにどのような影響を与えていくのか、今後のデータの蓄積が楽しみである。


リモートワークの急速な浸透に対して、私が抱く率直な感想は「なんだ、やればできるんだな」である。リモートワークの歴史を調べてみたところ、アメリカでは1970年代、日本でもサテライトオフィスの形で1984年には導入されていたらしい。リモートワークが働き方の選択肢の一つとなるまで、約半世紀の時間を要したのである。IT環境の発達や社内・社外の制度整備が重要な貢献をしていることは疑うべくもないが、コロナ禍以降の環境の変化はあまりにも速く、やればできることというのは存外に多いのかもしれない。


こうしたなか、私は石川県小松市に移住して、フルリモートでの生活に挑戦しようとしている。というわけで、冒頭の一文である。新しい生活、新しい環境、新しい働き方に不安は尽きないが、「なんだ、やればできるんだな」となることを願いつつ、今後も運動に資するような分析に励みたい。

研究員 坪井 翔

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