社会心理学者のクルト・レヴィンは「よい理論ほど実践的なものはない」と述べた。アクションリサーチとは、この思想を体現すべく、実践家と研究者が手を取り合いながら課題解決を目指す研究実践手法である。
ところで、クルト・レヴィンにつらなるアクションリサーチでは、システムの改善が目指される。しかし、ときに、“誰にとっての”改善なのかという点で不満が残る。一方で、哲学者・教育学者のパウロ・フレイレをはじめとするアクションリサーチでは、「コミュニティのメンバーが自分たちの生活環境を改善するためにリサーチに参加し、それを通して、各人の能力が開花していくプロセス」を大切にする。ここでは、メンバーは対等な仲間なので、「調査する人」「調査される人」というような区別は拒否される。
私は社会心理学者である。なので、レヴィンにつらなるアクションリサーチも大切にしたいと思っている。一方で、労働組合に(末席ながら)関わる者として、フレイレのようなアクションリサーチの思想も大切にしたい。「労働組合のメンバーが自分たちの生活環境を改善するためにリサーチに参加し、それを通して、各人の能力が開花していく。そのために必要であれば、システムの改善も目指す。」弊所のアクションリサーチ担当研究員として、そのようなアクションリサーチを推進していきたいと考えている。
研究員 仲嶺 真