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所員コラム 高校の同窓会にて (木下 祐希)

今年のGWに高校の同窓会があり、当時のクラスメートに久々に会ってきた。高校を卒業して6年。他クラスと異なるコースだったため同じメンバーで3年間を過ごし、学生時代を通してもとくに高校時代には思い入れがある。お互いに近況を語り合ったが、やはり「仕事」については必ず聞かれた。


私の仕事については、クラスメートや先生からは「お堅いところに勤めているね」「木下さんらしい」と言われた。卒業アルバムの「他己紹介」では「真面目ちゃん」と書かれたほどだ。自分が持たれているイメージに合った仕事だと言われた気がして誇らしくなったと同時に、少しの寂しさも感じた。


それはなぜか。皆の就職先を聞く限り、労働組合に入っていそうな人はいないだろうと思ったからだ。かといって、実際にあの場で労働運動の話をしたり、研究所の事業内容を事細かに説明したりしたわけではない。運動を普段から意識しているかどうか分からない相手に、研究所の理念や存在意義を伝える自信もなく、ただ日々の業務で感じていることを話した。


労組があるような大手企業での働き方がもてはやされる雰囲気はまったくなく、得意なこと・好きなことを仕事にしている人が多かった。お互いの仕事の話を聞いて「○○として働いているのがかっこいい」「私たちも成長したね」といった感想で持ちきりだったが、身近(もっとも地元)に労働運動・社会運動などの話ができそうな人は思っていた以上にいないものだと痛感した。


1990年代後半~2000年代に生まれた、いわゆる「Z世代」で労働運動に関わる存在は希少かもしれない。取材などで労組や研究者の方とお話ししたときも「なぜ研究所での就職を選んだのか」などと聞かれることが多い。それくらい珍しいのだろうか。この仕事をつうじて自分と同じくらいのキャリアをもつ方に出会った経験はまだ少ないが、私たちの世代以降も労働運動が続いていくよう、使命感を抱いて日々の仕事に取り組もうと感じた。そのひとつのきっかけが、親しくしていた仲間と仕事の話をしたことだった。

編集部 木下 祐希

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