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Int'lecowk 2024年4月号(通巻1139号)特集概要

産別トップに聞く 国際公務労連(PSI)加盟5組織へのインタビュー

1.企画の趣旨
本誌では、例年4月号において「産別トップに聞く」と題した特集を掲載している。各産業を取り巻く状況や産別組織としての課題認識や展望等について広く発信することで、働く人々が今後を展望し得る一歩につなげたいという考えのもと、継続してきた。

本企画は、①産別トップの方々からの寄稿(紙幅の都合上、主要産別のみ)、②アンケート(連合加盟の全産別組織)、③特別企画(①②とは異なる内容を企画)という3年ごとのサイクルで進めており、今年は③の年にあたる。

今回の特集では、公共サービスに関連する組織を取り上げることとした。日本における公共サービスは、とくに近年は新型コロナウイルス感染症拡大への対応等、非常に厳しい環境であったといえる。「エッセンシャルワーカー」に注目が集まったが、コロナ禍は、公共サービスが私たちの命や暮らしを守り安心と安全を支える基盤であるということが再認識される機会となった。そして、質の高い公共サービスが実現されるためには、公務労働者の公正な労働条件を決定する自律的労使関係が重要になるが、日本では公務員に対する団体交渉権をはじめとする労働基本権が制約されているという現状がある。これは国際的にみても特異な例である。
このような状況を踏まえ、公共サービスにおける労働運動の現状や課題、国際的な連帯などを明らかにし、広く発信するため、今回の特集を企画した。

2.インタビュー内容
国内で公共サービスに関連する組織は複数あるが、本特集では国際公務労連(PSI, Public Services International)に加盟している5組織にインタビューをおこなうこととした。この5組織は、PSI加盟組合日本協議会(略称PSI-JC)を構成している(PSIについては後述)。昨年2023年には第31回世界大会がジュネーブにて開かれており、その内容についても今回のインタビューでうかがっている。1

インタビューには、自治労・石上千博中央執行委員長、国公連合・武藤公明中央執行委員長、全水道・古矢武士中央執行委員長、ヘルスケア労協・上間正彦会長、全消協・須藤洋典会長にご協力いただいた。

インタビューでは、①組織の概要(発足の経緯、加盟組合数、加盟組合の特徴、組織率、組合員数など)、②運動方針、重点的な取り組み、③国際公務労連をつうじた運動(とくに、世界大会で感じたことや大会での各組織からの主張)、④非正規労働者にかんする取り組み、⑤ジェンダー平等、⑥政策制度要求の6点を中心にお話をうかがった。

3.国際公務労連(PSI)とは
今回取り上げる国際公務労連(PSI)についても概要を紹介したい。PSIは、世界150か国以上で重要な公共サービスに携わる労働者3,000万人を代表する世界的な労働組合連盟であり、約700の組合が加盟している2。2023年9月の大会により新体制となり、新会長にブリッタ・レジョン氏、新書記長にダニエル・ベルトッサ氏が選出された。ブリッタ氏は2012年から現在までスウェーデンの公務員組合(The Union of Civil Servants(ST))の会長であり、ダニエル氏は、前PSIの書記次長(PSIの経済政策活動を中心に、政策、アドボカシー、ガバナンスを管理してきた)である。3

略史は以下のように説明されている。PSIは、ドイツの自治体労働組合がオランダの自治体労働組合のゼネストを支援したことから、第2インターの会議の際に、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、スウェーデン、スイス、オランダの組合が参加して1907年に国際公務従業員(Public Servants)連盟として結成された。1925年にこの組織と競合する国際官公労(Civil Servants)連盟が発足したが、1935年には両組織が統一し、国際官公従業員(Civil and Public Servants)組合連盟となった。戦後になって、1958年に、現在の国際公務労連(Public Services International)に名称を改めた。1981年に本部をロンドンから現在のフランス、フェルネイ・ボルテールに移し、ILO(在ジュネーブ)への働きかけを強めてきた。4

主要課題・活動方針は、人権、労働組合権の確立がPSIの第一の活動課題とされている。ILOに関する活動では、ILO第151号条約「公務における団結権などの条約」の制定を始め、公務全般、保険社会サービス、消防、水・エネルギー部門などの合同委員会への参加、労働基本権の確立、質の高い公共サービスを確立する運動も中心的課題の一つである。また、女性組合員に対する教育プロジェクト、女性、ゲイ、少数民族労働者等の機会均等活動等も行なっている。ほかに、環境、エイズ禍追放、保健・社会福祉、廃棄物、年金、移民労働者等各々の専門分野の作業グループが中心になり世界的な政策提起を行っている。5

本特集にあたって、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

注釈
1 第31回世界大会において、日本の加盟組合が提出した決議案は以下の3点であった。
 第21号「韓国・香港・フィリピンおよびカンボジアの労働者との連帯」
 第22号「日本の公務員の労働基本権、消防職員の団結権・団体交渉権を求める」
 第35号「ミャンマーで続く労働者のたたかいを支援する」
2 PSIのHPを参照(https://publicservices.international/resources/page/about-us?id=5428&lang=en
3 PSIのHPを参照(https://publicservices.international/?lang=ja
4 公益社団法人国際労働財団のHPを参照(https://www.jilaf.or.jp/nc_data/guf/page-1426/
5 4と同じ。

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