第 49 回共同調査は、企業で導入している各種制度・施策を企業ごとに調査し、従業員の意識データとリンクさせることによって、制度・施策が従業員の意識に及ぼす影響を明らかにするための「共同調査」です。近年、日本企業の人的資源管理のあり方は大きく変容し、企業制度や施策もその時々の情勢に応じて新たな導入や改定がなされてきました。
一方で、組合員の仕事や組織に対する意識への影響(その制度が狙い通りの効果をもたらしたのか)は検証されることがなく、いわば”やりっぱなし”のまま現在に至っていると言わざるを得ません。昨今の企業制度の複雑化に伴い、労働組合は人事部が提示した制度を追認するような限定された形での関わりとなっている現状があります。しかし、導入された制度に気を払い、意欲をもって働ける制度となっているかを組合員の立場から検証し、より良い制度・施策への提案を行うことは、労働組合に課せられた重要や役割であるといえます。
この「制度・施策の影響」を検討するためのデータベースは他になく、本調査は、「知りたいことをみんなで集める」という、まさに当研究所が掲げる労働調査運動の実践であるといえます。
各種制度・施策の調査は、労働組合やシンクタンクでも行われていますが、意識データとリンクさせて分析する、ということは行われていません。この分析を行うことで、制度・施策の導入や運用にあたっての検証を行うことが可能です。
このようなデータベースは世の中にありません。このデータベースが拡充するほど可能な分析が増え、様々な課題にアプローチできます。まさに、労働調査運動だからこそ可能な取り組みといえます。
「こうした質問項目を作成したい」「こうした分析結果を知りたい」といった提案が可能となり、調査票の設計・分析にも関与できます。また、「ネットワーク会員」組織では、人事制度などの運用実態について、労組同士で生の情報交換ができる機会を提供しています。
企業の制度・施策が働きがいや生活意識に与える影響を統計的に分析します。
これにより、例えば、ある制度(例:リフレッシュ休暇制度)が導入されており、かつその取得率が高い企業の方が「内発的働きがい」が高く、「外発的働きがい」が低い、という結果が出た場合、リフレッシュ休暇取得を奨励し、取りやすくするための職場づくりなどの施策が組合員全体のやる気(内発)を促す、と考えられます。
このように、ある制度は組合員の働きがいを促進し、ある制度は働きがいを損なう、といったことが分かれば、新しい制度・施策の導入や、既存の制度の見直し、運用の際に大いに参考になるでしょう。
~3月
申込み期間
4月〜7月
実査期間
8月〜12月
分析期間
報告書提出
2017年度 女性活躍推進
「女性活躍推進法」が成立するなど、女性活躍推進の必要性が指摘されています。では、女性活躍推進は男性・女性組合員の働きがいにどのような影響を与えているのでしょうか。また、女性が活躍している組織では、どのような制度・施策が導入されているのかを検討しました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | 女性活躍推進と組合員の働きがい | P.57 |
第4章 | 組織内の多様性と組合員の働きがい | P.90 |
第5章 | 残業時間と制度・施策 | P.95 |
第6章 | 年功序列と性年齢別組合員の働きがい | P.98 |
第7章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.107 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.109 |
2018年度 働き方改革
長時間労働の是正を目指した「働き方改革法案」が施行され、残業時間の上限規制が導入されました。長時間労働の是正は、業務効率化や、採用力の強化や離職予防に効果があるといわれています。
そこで、残業時間と働きがいの関係や、残業時間の削減に有効と考えられる制度・施策を検討しました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | 残業時間と組合員の働きがい | P.56 |
第4章 | テレワークと働きがいを取り巻く要因 | P.84 |
第5章 | 生活意識と制度・施策 | P.91 |
第6章 | 職種別にみた人事評価と働きがい | P.97 |
第7章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.106 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.108 |
2019年度 若手の働きがい
共同調査参加組織のデータを分析したところ、若年層の「会社勤続意志」に低下傾向がみられました。背景には労働市場の流動化が存在していると考えられます。そこで、若年層の働きがいに影響する制度・施策はどのようなものかを、高年層との比較によって検討しました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | 若年層の働きがいを高める制度・施策 | P.56 |
第4章 | 若年層の働きがいにおける性差 | P.69 |
第5章 | 職種ごとのインセンティヴ | P.80 |
第6章 | 若年層の働きがい向上に向けて | P.99 |
第7章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.107 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.109 |
2020年度 人事評価制度・ジョブ型雇用
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響でテレワークが急速に進むなど、組合員の働き方は大きく変化しつつあります。また、テレワークに適応しやすい“ジョブ型雇用”への転換について、経団連から提起されています。こうした労働環境・雇用環境の変化が組合員の働きがいに与える影響を検討しました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | 変化する労働環境における人事評価制度 | P.56 |
第4章 | “ジョブ型雇用”と組合員の働きがい | P.92 |
第5章 | 等級制度と組合員の働きがい | P.101 |
第6章 | 管理職に対する制度・施策の影響 | P.107 |
第7章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.114 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.116 |
2021年度 テレワークと生産性
テレワークは組合員の働きやすさに寄与する一方で、生産性は低下させるという議論があります。そこで、第1回緊急事態宣言発出以降の「コロナ後データ」を用いて、テレワークの実施頻度と組合員の働きがいの関係を探索的に検討し、生産性の低下を緩和する仕組みについて考察しました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | 少子高齢化社会に向けた働きがいの検討 | P.56 |
第4章 | テレワークと生産性 | P.94 |
第5章 | 製造業における制度・施策の影響 | P.106 |
第6章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.116 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.118 |
2022年度 今後の人事制度についての探索的検討
コロナ禍前後の組合員の働きがいの変化や、中途採用の活発化など、近年の組合員を取り巻く労働環境・市場環境の変化の方向性を確認するとともに、そうした環境における有効な人事制度について、探索的に検討しました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | Withコロナに向けた人事制度の検討 | P.56 |
第4章 | 中途採用者の活躍に向けた制度・施策 | P.73 |
第5章 | 賃上げ方法と組合員の働きがい | P.86 |
第6章 | 柔軟な育児休業取得と組合員の働きがい | P.98 |
第7章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.119 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.121 |
2023年度 人的資本経営と働きがい
人的資本可視化指針や企業内容等の開示に関する内閣府令が改正されるなど、2023年は人的資本経営が明確に求められるようになりました。そこで、人への投資(人材開発、教育訓練など)や離職防止といった観点から、制度・施策の有効性について検討を進めました。
第1章 | 調査概要 | P.2 |
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第2章 | 分析対象データ概要 | P.50 |
第3章 | 人的資本経営と組合員の働きがい | P.55 |
第4章 | 組合員の意識と制度の導入状況 | P.73 |
第5章 | 離職率の高い組織・低い組織 | P.86 |
第6章 | 1on1ミーティングと組合員の働きがい | P.97 |
第7章 | 調査票への回答率と組合員の働きがい | P.109 |
最終章 | 内発指標・外発指標を高める制度・施策 | P.111 |
組合員の回答が必要でしょうか?
組織調査のため、組合員の回答は不要です。基本的には就業規則などをもとに労働組合のご担当者にお答えいただくものがほとんどですが、質問項目によっては会社(人事部等)の協力のもと、必要な情報を入手するなどして回答いただきます。質問内容によっては社外に開示できないものもあり得ますが、そのような質問には無理に回答せず、空欄にしていただいて結構です。
意識調査(第 30 回共同調査 ON ・ I ・ ON2 )に参加していないと無理ですか?
組合員の意識と会社の制度をマッチングさせて分析を行いますので、意識調査への参加が前提となります。ただし、募集中の期間に意識調査を行うなど、データが分析に間に合えば参加可能です。また、この第49回共同調査の分析に必要な項目を中心に、部分的に意識調査に参加することも可能です。詳細はお問い合わせください。
守秘義務は守られますか?
個別の企業が特定されるデータの開示は行いません。収集された情報、データベースは、外部からのアクセスを物理的に制限するため、インターネットに接続されていない記憶媒体に保存します。さらにこの記憶媒体にアクセス可能な者は分析チームのうち数名に限定し、個別の情報が外部に流出することのないよう情報管理を徹底します。