公益社団法人国際経済労働研究所 第51期総会後、
京都大学大学院文学研究科 藤田和生教授をお招きして、記念講演を開催いたします。
講演テーマ
協力社会の進化と他者評価
講演内容
私たちは大規模な協力社会に生きています。当然と思いがちですが、実は協力社会の実現には未だ解明されて いない謎が残されています。一般的に、協力行動は「他者(または集団)の利益のために、自身がコストを負 担して行う行動」と定義されます。この定義に従えば、協力的な集団(協力行動をする個人が多い集団)とは 、皆が皆のために行動している集団なので、こうした集団は効率よく食料などの資源を集めることができ、豊 かな集団となります。その一方で、協力行動をする個人は、しない個人よりも自身がコストを負担している分 、必ず損をしてしまいます。協力社会の実現には、協力行動をした人が損してしまうという難問をクリアする必要があるのです。
こうした協力社会を維持するために有効とされている手段の1つが「間接互恵性」です。間接互恵性とは、集 団のために協力している個人に対して、他者も協力してあげる関係性をいいます。このとき、集団のために協 力しているという「評判」を基に、他者は協力するかを決める、つまり評判という情報を活用しているといえ ます。
実は、このように自分には直接関係のない第三者間のやり取りから、第三者を評価する能力は、ヒトに 特有のものではなく、様々な種でも共通してみられることが知られています。 第三者を評価する能力がさまざまな種でみられるということは、協力社会の形成は進化的に古くから重要な課 題であったことを意味して います。こうした協力社会の実現・拡大という生物共通の課題に対し、協力社会の例ともいえる労働組合は何 ができるか、何をすべきかを考えるきっかけとなればと思います。
講師のご紹介
藤田 和生 氏 |
専門は比較認知科学。霊長類、げっ歯類、鳥類、爬虫類、魚類、イヌやネ コなどの伴侶動物を対象に、心の働きの比較研究を行う。ヒトを含め、すべての動物の心はこの地球上に生命 が誕生して以来、数十億年の進化のたまものであり、対等で、互いに敬意を払うべきもの。 その多様な心を理解し、その進化のプロセスを、現存の種々の動物の知性や感情の働きを比較することで跡づ けることを研究テーマとしている。 |
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