1991年、私たちは組合員の満足を追求する姿勢が、労働組合を運動ではなく御用聞きサービス業におとしめると予測し、“お客様”としての組合員の満足ではなく、“メンバー”としての組合員の関与こそを重視すべきであるというコンセプトに立った共同研究「ON・I・ON2」を発信しました。
また、従業員としての組合員の「会社関与」を測定し、本共同調査のもう1つの柱である「働きがい」とあわせて議論しています。
さらに、社会や地域の一員であるという自覚を持ち、責任ある行動を果たしていくという「社会関与」も測定しています。
こうして、労働組合を運動体として本来の参加関与型組織に再生していこうという、「運動のための調査研究」としての位置づけが年々明確になっています。特に近年は、意識調査の結果を用いて現場の課題解決へのアプローチも行われています。
どれだけ自らのエネルギーを
注げるかの指標
組合員が組合に無関心なのは当たり前ではありません。自分にとって意味のある集団・組織には、むしろ「積極的」にかかわりたいと思っています。組合員の組合離れが叫ばれて久しい現在、いかに組合のアイデンティティを明確にするか、執行部だけが頑張るのではなく、いかに組合員を巻き込んだ活動を展開していくかが、課題となっています。
企業業績につながる
組織の根の
強さを測る指標
現在、多くの労働組合で「働きがいの向上」が運動方針やビジョンに掲げられていますが、その中身は処遇や労働条件など、仕事をする上で付随的に与えられる諸条件による「外発的ワーク・モティベーション」に主眼が置かれています。
しかし、人が仕事の遂行を通じて直接的に得られる、楽しさや面白さなど内から沸き起こる「内発的ワーク・モティベーション」も存在し、内発的・外発的両側面が満たされてバランスがとれたとき、「働きがい」のある状態といえます。
この働きがいのバランスは企業業績と連動する可能性も示唆されていることから、働きがいの向上に向け会社に提言するときに、この指標の活用が有効です。
世の中のことを他人事として
済ませない指標
職場の問題を人まかせにしない、自分たちの会社を自分たちでよくしていこうと考える組合員を育むことが、社会関与への入り口です。組合で、会社で、社会で、“お客様”ではなく、“メンバー”として関与するという本来の姿を、労働組合の運動として展開しようというのがON・I・ON2のメッセージです。
単組が参加する調査としては国内最大です。他労組の平均値を「共同調査データ」とし、比較可能です。自組織の立ち位置がわかり、自組織の傾向を明らかにすることができます。調査運動だからこそ、集まるデータであり、同じ産業、同じ職種などとの比較も可能です。
正確な意識調査を行うためには、考慮すべき注意点がたくさんあります。ON・I・ON2では意識調査の専門家が調査設計に携わり、質問項目の作成から、統計分析の妥当性まで社会心理学の考え方に基づいて確認するので、アンケートの実施が職場に与える影響も考慮しながら、職場のリアリティを正確に測定することができます。
調査の活用において、本調査では、SRC(ソーシャルリアリティコントロール)の観点を重視しています。調査で見えてきた課題の解決や、目指す方向性などに対するアプローチ方法を一緒に考えます。
※SRCとは集団が認識しているリアリティを、望ましい方向に変化させる(セルフコントロールする)こと。
労働組合に対する組合員の意識を「関与」と「評価」という2つの視点からとらえ、組合の活性度を総点検します。その結果をもとに、参加関与機会の増大を図るという観点から、具体的な活動のスクラップ&ビルドに活用することができます。
ビジョンや活動方針の策定
これまでの何年かの活動を総点検し、これからの何年かの活動の方向性、優先順位を決めるバックデータとして活用することができます。
経営提言
労使での働きがい向上の取り組み、あるいは労働組合として経営に対するチェックのエビデンスとして活用することができます。
参加型の運動として
調査自体が組合員として組合に関与する機会に活用することができます。
メッセージを発信するツールとして
設問を通して組合の考え方や取り組みをアピールすることができます。
コミュニケーションツールとして
調査結果を投げかけ、組合員に関心を持ってもらうきっかけに活用することができます。
組合オリジナルの指標
「組合関与」「働きがい」といった、組合が目指す方向性そのものを指標としているため、現在の状況の可視化や共有、次の目標の設定がスムーズにできます。
共同調査はいつ開催されますか?
ON・I・ON2(第30回共同調査)は、一斉募集の方式ではなく、任意のタイミングで参加いただくことができます。これまでの参加組織は、
・組合ビジョンや中長期計画の策定
・周年行事
・人事制度変更等
・組織拡大・再編
など組織の節目に実施したり、定点調査として活用されています。
組合員へのアンケートはWEBで実施できますか?
WEBでの調査も可能です。調査票の原版完成後、調査票印刷から調査実施、回答のデータ化までは労働組合でご担当いただきますので、必要に応じて、WEBページ構築(WEBの場合)やデータ入力(紙の場合)の協力企業をご紹介します。※研究所では調査票の設計、分析・報告書作成、報告会議での報告を担当します。
回答時間はどのくらいかかりますか?
15~30分程度かかります。時間をかけずに直感的に回答でき、幅広く分析可能な5件法の設問(※)を中心に構成しています。回答時間が取れない場合は1人あたりの回答時間を短縮できるよう調査票を分割する方法(回答時間10分程度)もありますのでご相談ください。※そう思わないーどちらかといえばそう思わないーどちらともいえないーどちらかといえばそう思うーそう思う の5段階で回答
項目は追加や削除ができますか?
独自項目の追加が可能です。(追加費用がかかります。) また、原則として設問の削減はできません。1人あたりの負担を軽減できるよう調査票を分割する方法もありますのでご相談ください。
アンケート調査実施の流れを教えてください。
ご契約後、
・調査票設計打ち合わせ :労働組合・国際経済労働研究所
・調査票確定:国際経済労働研究所
・実査(配布回収):労働組合
・データ入力 :労働組合または入力会社
・分析および報告書作成 :国際経済労働研究所
・報告会議実施 :国際経済労働研究所
を4か月~半年程度かけて行います。
報告会議とは何をするのですか?
・意識調査の結果活用のためのレクチャー
・結果報告
・質疑応答(議論)
を4時間程度で実施します。
働きがいの問題について、より具体的に調査することはできますか?
まずは、職場や会社の状況をヒアリングさせていただき、課題に応じて、例えば「高原症候群分析(仕事の負荷やコントロール感から、職場の疲弊状況を判定)」や「トリガーイベント・リアリティ分析(組織内の出来事や変化、ムードがどの程度共有されていて、働きがいに影響にしているかを検討)」などのオプション分析を提案いたします。
調査費用はどのくらいかかりますか?
組織規模や分析内容により異なりますが、平均的な費用は組合員1000人の場合200万円程度です。小規模組織向け(費用:約65万円~)、部分参加(費用:約80万円~)の調査もありますので詳細はお問い合わせください。また、調査票の印刷費・データ入力費、またはWEBページ構築費が別途必要です。
長年実施している調査から移行するにはどうしたらよいですか?
これまでの調査票のなかから独自設問として残すべき設問を残し、より効果の高い調査を行えるよう分析担当者からご提案します。前回調査時の調査票をご用意の上、ご相談ください。
回答者(サンプル数)が何人くらいいれば参加できますか?
200人以上からの参加をおすすめします。組織内を属性や所属で分けて細かく分析する場合は分析担当研究員より分析に必要な人数をお伝えしますので調査票設計時にご相談ください。
毎年実施する定点調査として使用できますか?
定点調査としての活用は、もちろん可能です。ただし、実施後にアクションの時間を十分とるために、3年~4年に一度の調査をおすすめしています。
組織の結果が公表されてしまいますか?
単一組織の状況がわかるデータが公表されることはありません。業界データなど複数組織からサンプリング・加工し、単一組織の結果が特定されないデータは公表する場合があります。
ON・I・ON2調査に参加しているA労組のデータと比較できますか?
単一組織の状況が特定できるデータを、研究所が該当組織に断りなく公表することはありません。ご紹介は可能ですので組織間で直接ご相談ください。また、5組織以上の組織の参加がある業界については、業界データを作成し比較することが可能です。※別途費用をいただきます。