研究プロジェクト
社会のグローバル化、循環型経済に向けた資本主義社会の見直し、代表制民主主義の機能不全……豊かさや成長を追求してきた近代社会が成熟してくるにつれ、その近代社会そのものの見直しを迫るような社会の変化が、さまざまな局面で指摘されるようになりました。その一方で、「社会はどこへ向かおうとしているのか」、「私たちはどこへ向かえばよいのか」といった展望をめぐっては、私たちはまだ混迷の中にいます。
労働運動もまた、こうした混迷と無関係ではありません。近代社会の成熟とともに進展する情報産業化や雇用形態の多様化は、組織率の低下に見られるように労働組合運動の低迷・衰退を招いており、またこれらの変動は企業の枠を超えた構造的問題であることから、企業別労働組合の限界が労働運動の内部から指摘されるようにもなっています。
このような状況にあって、労働運動をより広範なアクターを包摂する盤石な運動として再興していくために、労働運動はどのように変わっていけばよいか――本研究プロジェクトの背景にはこの問題意識があります。誰もが先を見通せない時代であるからこそ、労働組合には広く社会を視野に入れた社会的役割を担うことが期待されます。そしてそのような役割を担い、社会を守っていくことで新たな連帯を創り出していくことでこそ、労働運動も守られる…こうした好循環を創り出していきたいと考えます。
本研究PJは、労働組合と研究者の共同参画により、現代社会の変容についてともに学びながら、労働組合が目指す社会のあり方を問い直し、論じ合うプラットフォームです。主に産別労働組合の政治・政策担当者と研究者が参画し、各回で講師を招いて話題提供をいただきながら、議論を深めています。