研究プロジェクト・ワークショップ

社会心理研究事業

有能性と自律性(あるいは自己決定性)は,内発的動機づけを促進するか?

1)産業場面においても有能性と自律性(あるいは自己決定性)は,内発的動機づけを促進するか

働きがいの源泉には大きく2つの側面がある。ひとつは職務の自律性や有能性などに代表される内発的側面である。この側面は、仕事そのものか ら得られるものであり、「仕事に創意工夫が活かせる」といった自律感や、「仕事がよくできる」と いった有能感を通じて仕事のやりがいを感じる、 いわゆる「内面からわき起こる、やる気」である。も うひとつは、仕事に対して付随的、副次的に与えられる、外発的側面である。これは他者(会社や上司など)から与えられる性質のもので、「給与」 「地位」「昇進」などが代表的なものである。公益社団法人 国際経済労働研究所では、こうした働きがいとそれを取り巻く要因についての意識調査を実施し、その実態をもとにした提言活動を行っている。本稿では、そのうちの主要な項目について職種別の傾向を紹介する。

全文は、機関誌Int'lecowkに掲載しています。
こちらからPDFをご覧になれます。

4474e923a0a826c8d729fb0e98160670-1654155692.png

認知的評価理論は,「自ら環境をコントロールして行った行動について,有能さが得られると内発的動機づけが高まる」と予測する。

そこで,左図にあるモデルを設定し,自律感と有能感が内発的動機づけを説明するか検証した。研究では,内発的動機づけを測定する尺度として,「仕事の楽しさ(Work-Enjoyment)」を用いている。分析の結果,自律感と有能感はお互いに関連しあう,すなわち,「自ら環境をコントロールし、有能さが感じられること」が交互作用的に働くことが確認され,さらに,内発的動機づけを高める作用があることが明らかになった。すなわち,勤労者は,理論が予測するとおり,自ら仕事をコントロールし,それに有能さを感じることで,働きがいが高まるということが明らかになった。

一覧へ戻る